娘が保育園を休みだして二週間ほど。
体調もやっとこ良くなって、笑顔を見せてくれるアウラに
わたしも本当に嬉しくて、そして心からほっとして、
今日はなんだか気が抜けたような感じだった。
外は雨で、なんだかとっても眠たくて、
だらしないと思いつつも、一日中部屋着で過ごしてしまった。
この二週間、私がトイレに行く間すらも、私を追いかけてきて
一緒に居たアウラ。
なんかこんなにべったりずーっと一緒にいた感覚が懐かしい。
そうそう、君が生まれて来てしばらくは、毎日こんな生活だった。
青い蚊帳のテントの中で、二人で過ごした日々、、、。
思い起こせばあの日から、君はずっと私を見つめて生きている。
アウラが病気でえらく弱ってしまった時、あなたはひと時も私から離れようとしなくて、
私の身体にぴたっりくっついて、ママ、ママってずっと言っていた。
私はそんなあなたを見て、
「この子は私がいないと生きていけないんだ、、、。
この世界は彼女にとってはとっても大きくて、時に不安で、恐怖で、
でも私がしっかり手をつないでいる間は、彼女にとってこの世界は
とても安心したものになってるんだ、、、。」
と、ふと気が付いた。二歳半になって、一人で歩き、言葉も話せるようになり、
保育園に預けることにより、私も自分の時間が出来たりして
何となく、私はそんなに彼女が私を必要としていることを、
最近ちょっと忘れかけていたかもしれない。
彼女はまだまだこの世に降り立って二年とちょっと、、、。
まだまだ彼女にとって母親という存在は自分の居場所、ホームそのものなのだった。
そう思うと、
早い時期に母親を亡くしてしまった子供たちは、本当に辛いだろうな、寂しいだろうな。と
胸が締め付けられる思いがした。
そして離婚など親のトラブルの関係で
ずっとそれまで一緒だった父親や母親と連絡が取れなくなってしまうなど、
子供にとって、本当にショックなことなんだな、って改めて感じた。
私は、彼と別れてすぐの頃、彼の精神状態のことも色々あって
二か月くらいアウラと彼を引き離してしまったことがあって、
その時はそれしか選び取れなかった自分がいたし、そうするしかなかった。
でも、彼がアウラに会えないことでどんどん衰弱していって、
魂の抜け殻みたいになってしまったのを見て、
本当に申し訳ないことをしてしまったと反省した。
あの頃は本当に苦しかったな、、、。
アウラはまだ赤ちゃんで、そんなにパパを求めてる風ではなかったけれど、
今は、たまにパパと過ごす時間が、とっても楽しそう。
家族の形、夫婦の形は色々あっていいと思うけれど、
子供にとって、自分が生まれてきた場所というのは、父親と母親に違いなくて、
そこがどこだか分からなかったり、冷たくなっていたりすることは
子供にとって、自分の生まれてきた場所が同じ状況になっているような感じで
とても辛く、悲しいことであるし、
時には自分の存在価値を失ってしまうきっかけになりかねない、と私は思いました。
もちろん、そんな逆境を乗り越えらる強い魂であることは間違いないけれど、
親のエゴで、子供を無駄に傷つけたくない。
アウラには、妊娠中から、
彼と私との問題で、辛い思いを沢山させてしまったこと、本当にごめんね。
時折見せる、彼女のわがままや、抵抗の仕方が、
彼女を妊娠しているときに私たちの中にあった問題と、出方がそっくりで、
胸が苦しくなる。
私たちが与えてしまったもの。それは愛だけではなく、苦しみもあったのだと、
私は自分を責める。
でも、もう過去は変えられないから、今を、とにかく大切にしていきたいと思っている。
のに、、、
今日はアウラにひどいことをしてしまった。
最近、洋服を着替えるのが嫌な娘。
おむつを履かせるのもやっと、服を脱がせるのもやっと、
でも脱いだら今度は着ない。
肺炎を起こしてやっと良くなったというのに、寒い中ずっと裸でいたがる彼女を
穏やかな気持ちでは見ていられない。
一緒に暮らしている母も、 「早くアウラに洋服を着せてね。」と急かしてくる。
アウラは洋服をポイポイ投げて、「きない!!!」と怒り出すし、
バーバもそんなアウラに 「なんで言うこと聞かないの!」と叱る。
泣き出すアウラに私は「洋服着ないと、また風邪ひいてちっくんしなくちゃいけなくなるんだよ。」
と言い聞かせる。そんな話で「そっかーじゃあ着る」なんて言うような娘ではない。
「今着たくないから絶対着ない」 そういう自分の今の気持ちを大事にする、我の強い子アウラちゃん。
他人の意見にはぶれません。
泣き叫ぶアウラは「おっぱいして~~!」 と、今度はおっぱいに逃げてくる。
私にしがみつくアウラ、
「洋服着なさい!」と叱るバーバ。
「お母さん、そんな風に顔を見るたび洋服着なさいなんて言ったら、アウラますます嫌になるだけだよ。」
と私。
そうするとその意見に母の怒り爆発。
「あんたがしっかり着替えさせれば、こんなこと言わなくてもいい話でしょう?なんでそんなに甘やかすの?
どうしてちゃんと躾けられないの?アウラには届いてないよ。見抜かれてるわよ!」
分かってる、、、。
私はこの子を叱ることに抵抗があって、どうやって躾けていいかも正直分からないダメな親だってこと。
アウラにぴーぴー泣かれると、めんどくさくなってその欲求を飲んでしまうこと。
アウラと、真正面から勝負出来てないこと。
でも、どうしていいか分からない!!
こんなにずっと心も身もアウラ一色なのに、一体何がいけないっていうんだ?!
これ以上、私に何を求めているの?
溜まっていた私の感情がどんどん溢れ出し、泣きつくアウラに、母には叱られるはで
私は思わず声をあげた。
「じゃあどうしろっていうの?!わたしだって分からない!!」
そのまま私は泣いてるアウラを連れて布団に潜った。
こんな子供みたいなことしてる自分が情けないのだけど、
どんどん涙が溢れ出して、しまいには声をあげて泣いてしまった。
するとさっきまで大声で泣いていたアウラが、ぴたっと嘘のように泣き止んで
寝かされた布団の上で、びくともせず硬直していた。
泣いてる私の姿を初めて聴いたアウラは、相当びっくりしたようだった。
妊娠中も、何度も何度も泣いたけど、もしかしたらおなかの中で
こんな顔していたのかな、と思うと尚更泣けてきた。
怖い思いも何度もさせてしまったこと、だけど勇気を持って
私たちの元に生まれてきてくれたことに、その時気が付いた。
そうか、、、そうだったんだね。
アウラはそんな私たちを許してくれてるんだ、、、。
しばらく泣いてる私から目をそらしていたアウラが、
私をちらっと見た。
そして私のほっぺに手を当ててくれた。
「ママ、泣いてごめんね。」
アウラはうん。と頷いた。
アウラの小さな手のひらから伝わってくる温度が本当に気持ちよくて
私は眠くなってしまった。
鼻をすする私を見て、アウラはやっとこ私をしっかり見てくれて、
「ママ、おっぱい」
と言って、いつものおっぱいタイムが始まった。
おっぱいタイムは、私もとっても癒される。
すべてをその時だけ忘れてもいいんだよって
神様に与えられた時間のような気がするの。
頭がぽーっとなって、たぶん、同じような感覚をアウラも感じているんだろう。
気がついたら雨音と共にすっかり寝入ってしまって、起きたら夕方だった。
起きてから今日寝るまで
アウラは一度も私から離れなかった。いつもは一人で座るごはんの時間も
私のひざの上から離れなかった。
「ああ、そうか。ママが泣いたから、慰めてくれてるのか」
私はそんな娘の優しさに気が付いて、本当に心が癒されていくのが分かった。
「ママ、泣いちゃったね。」
私がそう笑いながら言うと、アウラはにたーっとして
「ママ、ないちゃったね。」と繰り返した。
「ダメなお母さんだって、なんだって、いいんだよ。わたしのお母さんだもの。」
そんな風に言ってくれてる気がして、私は嬉しかった。
多分、私が彼女を叱れないのは、
妊娠中と、生まれてすぐの時に彼と私の間で起こったトラブルの影響で
彼女を深く傷つけてしまったんではないかという恐れと
申し訳のなさから、彼女をこれ以上傷つけたくない、不安にさせたくない。
という気持ちが強くて、ついつい彼女の欲求やわがままを飲んでしまうという過程に
結びついているのではないか。とさっきこれを書きながら気が付いた。
私が叱られた経験がないから?とか、嫌われたくないから?とか
色々考えてみたけれど、叱られたことだってあるし、それを恨んだこともないし、
この子は私を嫌ったりしないという安心感はある。
でも、彼女に与えてしまったであろうトラウマを癒すことと、
彼女のわがままを受け止めてしまうこととが混同して、どうしていいか自分でも
よく分からなくなっている気がする。
そして育児書とか見てみると、最近は本当に
子供を感情的に怒らない育児が主流で、うまく気持ちを誘導するような例えが沢山あるんだけど、
そんな風にうまく出来ない自分への苛立ちとか、
彼女を試すような卑怯なやり方で彼女を躾けようとしている自分とか
好きになれなくて、人を育てるってどうしてこんなにもめんどくさいの?
と、ため息が漏れてしまうこともある。
私は人を育てるようなことに向いてない。
あ、ちがうちがう。だからアウラに育ててもらってるんだった。
自分すらまともに面倒みきれてない自分が母親になったことが、
本当に奇跡としか思えないし、きっとそういう学びが私には必要で
そしてそんな弱虫な私みたいなお母ちゃんに逢いたくて、今ここにアウラは来てくれてる。
ほんとーーーに
ありがとう!!!
長くなっちゃったけれど、私は私を癒すために
書かせてもらいました。
母になるって、こんなにも色々な発見や戸惑いや
感動があるなんて、母になるまでまったく知りませんでした。
私を母にしてくれたアウラと、彼に
本当に感謝。
出逢ってくれて
ありがとう。
私たちが生みだしてしまったすべての悲しみが、
私たちの手によって、癒えていきますように。