あたたかい夜
まるで春の夜みたいだ
雨音が身体中に染みわたり 身体の細胞たちが
穏やかに呼吸し出すのを感じる
わたしはいつも 寝る前に物語を書く子供だった
ひとりベッドに潜り込み
枕元に置いてあるノートに えんぴつでスラスラと書いた
でもその物語はいつも終わりがなくて
どんどん新しい物語がひらめいてしまうものだから
書き出したままの物語がいくつも転がっていた
小学生になったころ 母親がワープロを買ってくれて
わたしはまたそこにたくさんのストーリーを書いた
勉強がホントに大嫌いだったわたしは
宿題なんて手をつけずに
学校からの帰り道で友達に話していた物語を忘れないうちにと
カタカタとワープロに書き溜めていた
今でもなんとなく覚えているのは
小さな魔女の姉妹の話
なんとなくだけど、自分の娘たちにどことなく似ている。
長野の冬は寒くて
でも、寒いからこそ想像力が開花した
父はいつもわら半紙をたくさん買ってきてくれて
わたしと兄はひたすらそこに絵を書いた
こたつの上で ひたすら ひたすら
兄は小さなころからとても絵がうまかった。
漫画もうまかった。
わたしは兄が羨ましくて、兄を真似してどんどん描いた。
紙のうえではなんでも自由。
決まりごとも、こうしなくてはならないことも、なにもなくていい場所。
そんな兄は どんどん独自の芸術の才能が開花して
我が家の実家の前には、兄が大学生の頃造ったすばらしいオブジェが、そびえ建っている。
わたしはそんな、だれにも作れないような想像力にあふれた兄の作品が
いまでも憧れ。
わたしは今
雨の音を聞きながら ~種としずくの物語~という詩を書いていました。
この物語は、ずっと前から温めてきたものだんですが
中々まとまらなくて
昨日、出来た!!と思ったけれど まだまだなんだかチグハグで、、、
そしたら なんと雨が降ってくれて
そしたらどんどん 言葉たちが踊り始めて。
小さい頃
終わりに出来なかった物語の種たち。
みんな、くすぶっていた わたしの中で。
わたしはいつも、中途半端で
何事も達成できないような、ジレンマがずっとあったけれど。
表現することを、やめないでいたら、
やっとこ やっとこ わたしが わたしになっていった。
三十歳過ぎて
こどもも ふたり そばにいてくれて。
そんな母となった私だからこその、 歌たちが
もうすぐ CDという形となって お産されます。
「 ママね、大きくなったあーちゃんとみーちゃんにプレゼントしたい歌があるんだ。
だから、明日 その歌をうたうんだよ」 とあうらに話すと
「 わあうれしい!! じつはあーちゃんもね、ままにうたのプレゼントがあるの。まだひみつだけど。
あのね、 おなかのなかにいたときね、 まどがあって、そこをのぞくとすっごくすっごくまぶしかったの。
それでね、すっごく暑くて、もうむりだよーって思ったときにね、キリクがきてあーちゃんとこ うんしょーって押してくれたんだよ。
で、あーちゃんうまれたんだよ」
だって。 キリクっていうアニメがあるのご存知ですか?小さなキリク。 そのキリクのアニメを見てから
あーちゃんはおなかの中にもキリクがいたと、いつも話してくれます。
キリクみたいな、小さな赤ちゃんがいたのかな??
このCDが出来たら、たくさんの人にぜひ聞いてもらいたいな。
子宮からの、ラブソング。
あすはいよいよ レコーディング!!!!