旅する布
タイのお産の旅で
私のことを娘のように可愛がってくれた
タイ人のお母さんから
一枚のサロン(大判の腰に巻く布)をもらった。
彼女は私に、赤い布と、青い布を見せて
「どっちがいい?」
と聞いてくれた。
どちらも魅力的で、私は少し迷ったけれど、
お腹の中にいたアウラのインスピレーションで、
青の布にした。
その布には、ピンクと黄色のお花が描かれていて、
その色彩は、まさしくアウラの色であった。
「じゃあ、この赤い方が私ね。うふふ。赤なんて久しぶりだわ。」
そういって彼女は赤いサロンを腰にまいた。
彼女の日焼けした肌と、大きな瞳と、真っ黒なロングのおさげに
そのサロンはとてもよく似合った。
彼女の家に居候させてもらっていた私は、彼女が何年も同じサロンを
大切に使っていることを知っていた。
色あせたその布たちはどれも、彼女の日常と、タイの太陽と、風と絶妙にまじりあって
とても美しく見えた。
そんな彼女が、私のために新しいサロンを市場で新調してくれたことが
とても嬉しく、でもちょっぴり申し訳ない気持ちと共に、
暖かい気持ちになった。
彼女にとっても、私にとっても、
この出逢いがとても魅力的で、人生の大切な時間のひとつであることを
お互いに感じ合ってていたことに、私は感動した。
そして彼女の家を離れ、お産の道へと進むわたしのお腹を
いつも守ってくれたこの青い布は、
生まれたばかりの私とアウラを、大切に包んでくれた。
アウラと私のタイの暮らしの思い出の中に
いつも
この布と
太陽と
彼女の優しさがある。
あれから三年がたつけれど、
チェンマイの空港で手を振って以来
何の連絡も取り合っていないけれど
私はいつも朝いちばんの太陽にお祈りをする彼女のエネルギーを
今ここに届けてもらっている。
目を閉じれば、彼女を感じることが出来る。
彼女と、彼女のパートナー、そして五人の子供たちが
今日も小さな幸せの中に満ちていることを感じている。
そしてその幸せを、きっと出逢ったみんなと分かち合っていることも、、、。
一枚の布は
本当に沢山のことに使うことが出来ます。
腰に巻く
羽織る
子供のおくるみにする
ハンモックにする
ピクニックのときに敷く
こどもを抱っこするときのスリング
そして
窓にかけたり。
大好きな一枚の布と
人生を共にする喜びに出逢えて
私は本当にハッピー。
タイ式マッサージの施術ルームの窓に
この布をかけてみたら、とっても魅力的になりました!
もう一つの窓には、はじめてインドに行ったとき、
コルカタで路上でおじちゃんが手描きの布を売っていて、
一目ぼれして買った赤い布。
こちらももう6年か7年目。
光にかざすと、本当に美しい。
みんなを心から癒す布だと思います。
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