愛とはなんだろう? 6 インド編

カミュ

2013年05月31日 23:39

~愛とはなんだろう?5~ の続きです。

今夜は昼間太陽を一杯あびたので元気いっぱい。

今日は畑で行われたお気楽フリーマーケットでゲットした

手縫いで出来た古布のリメイクのワンピースとの出会いがありました。

そのワンピに一目ぼれした私。

着てみてびっくり!!サイズもすばらしくぴったり!

そして布の持つやわらかさ、そして手縫いで作ってくれた人が、このワンピースを大切に思う気持ち

風や光すべてが織り込まれたその一枚が、とても愛おしく

すっごく着心地もよく、、、。

そんな出来事と丁度リンクしたこの~ 愛とはなんだろう?インド編6~

お楽しみいただけたら幸いです。







ハジマリ  ハジマリ  ☆  ☆  ☆







(アシュラムの屋上)





「よかったら、一緒にチャイでも飲みませんか?丁度、いい感じに出来たところ」

屋上で出逢った縫い物をしていた女性が、湯気のたったグツグツ煮えたぎる鍋を覗き込み

にこにこしながら私を誘ってくれた。

洗濯ものを一通りロープに欲し終えた私は、 水の滴るその洗濯物をくぐり抜けて

「うれしいです!やったー!」と満面の笑みで彼女の元へ向かった。


「 彼が、毎朝必ずチャイにしてミルクを飲むの。」


そういうと彼女は、さっきからひとり、手を腰の後ろにまわしぐるぐるともの静かに歩き続ける

妖精みたいなドレッドヘアの白人のおじちゃんを見つめた。

どうみても、普通のその辺にいる観光客の外国人とは違っている。

そして長く旅をしている、バックパッカーとも違う。

インドの神様が体中に染みているような、またはサドゥのような、

そんなオーラが彼からは出ていた。


「私も、チャイ大好きです。毎朝ここで作ってるんですか?おいしそう。」


ぐつぐつ煮えているチャイの鍋を見つめながら、私が聞くと

「この時間は屋上で朝のチャイタイムって決まってるの。私たちの朝ごはんはこれだけ」 と彼女が教えてくれた。

「ええ?これだけ?そんな貴重な朝ごはんもらってしまって大丈夫ですか?」

「もちろんよ! 沢山あるんだから 」 

「ありがとう。 もう、ここに来て長いんですか?」


そう私が訪ねると、彼女は ぱっと空を見上げた。

その透き通ったまなざしが、もう随分と日本には帰っていない人だと想像させた。

日本にずっといる日本人と、そうではない日本人というのは、

どうしてだか瞳の色が違うことを、私は何回かの旅の経験で知っていた。

それはどちらがいいとか、悪いとかじゃなくて、

明らかな違いとして感じられた。


「ここには、以前半年いて、ビザのためにネパールに行って、また帰ってきて、、、

 今二週間??三週間目くらいかな、、? もう、月日の感覚がまったくもってなくてね。忘れちゃったけど」

お寺から鳴り響く鐘の音が、気持ちよく風に乗って届いた。

今日が何日なのか、何曜日なのか、、、。

ずっと旅をしていると、そんなことはどうでもよくなってしまうことを

私も経験している。そしてそれがどれだけ贅沢な感覚なのかも、、、。



しばらく、鐘の音を抱きしめて、私も空をみあげる。

インドの空は、私が知っている空よりも濃い色をしている。

でも、ここリシュケシュはどこか長野を思い出させる。

気候もそうだけど、山と川と共にある場所だからかもしれないな。


彼女の年齢は、聞かなかったけれど多分40代後半くらいのように見えた。

大きなつばの女優さんがかぶるようなハットを目の深くまでかっぶっていたけれど

そこからのぞく顔は

お化粧もせず素顔のまま。目じりの皺をのぞけば、あどけない無邪気な少女みたいだった。


「このバッグね、インドに来る前に、タイで友人に縫ってもらったものなんだ。
 
 ずーっとこればかり使ってるから、持ち手が破れてしまって。

 当て布をして縫い直してるの。 私縫い物とか昔は全然しなかったんだけどね。楽しくてはまちゃって。

 本当に大切で必要なものは、壊れても自分で直して、何度でも使えばいいよね。 」


 その布で出来たバックは、とても味があって、どこか彼女のにじみ出てくる人柄ともよく似ていた。

夫婦が似てくるみたいに、物もずっと一緒にいると似てくるのかな。


さっきまで物静かに歩きまわっていた彼が、こちらに向かってきた。

私のすぐ近くまでくると、彼が想像以上に背が高かったことを知りびっくりした。

腰に巻いた一枚のサロンから、長く伸びた足。

そして近くでみると、とってもかわいい瞳をしていて、長いひげで顔の多くは隠されているけれど

赤ちゃんみたいなやわらかそうな白い肌をしていた。


「ナマステ。チャイをありがとう」

私はそう伝えると、それ以上なんて言っていいかまたわからなくなって

差し出されたチャイをそっと一口飲んだ。





つづく
































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